芽吹きの庭で
夏休み。 縁ちゃんになっていた。 ねっとりとした空気が身体にまとわりつくのがまるでぬるま湯の中のように気持ち良い。 現実感の消失した世界で、友の戯れに転げまわっていた。
何かの拍子にガバリと飛び起きたとき、そこはただの現実で、ああ、あれは夢だったのだと悟る。 夢の余韻は尾をひき、覚醒したはずの意識は再度沈みゆく。 ぼんやりとした思考の中、突如として起こった部屋の崩壊に反応できずにそのまま埋もれてしまった。 反応したところでどうしようもなかっただろうけれど、それでもぼんやりしていた自分が恨めしい。
そしてそのまま生きているのか死んでいるのかわからない状態で、意識だけはただここに在った。