雨降る朝の
いつものように電車を降りて会社へと向かう。 しとしとと雨が降っていたので、 駅に置き傘しておいて良かった、なんて思いながら傘を掴んで地上に出る。
心地よい程度に降っている雨の中、傘を差して歩きだす。 見慣れた風景、会社まではほんの数分。
いつも通りの日常のはずが、いくら歩いても会社に到着しなかった。 見慣れた風景はいつの間にか消え去っていて、見知らぬ場所を歩いていた。 どこか古めかしい感じの一軒家が並ぶ道だった。 ふと道端を見ると地図があって、どうやら自分は北に向かって歩いていたことがわかった。 本当は駅から東に向かわなければならなかったのに。
しょうがないので、少し東に向かいつつ南に戻ろう、と思って走りだす。 すぐに戻れるだろう、という楽観的な思いは、少し南に戻ったところで港のような場所に出てしまったことで打ち砕かれる。 対岸は見えるのだけれど、橋がなくてそれ以上南に戻れない、という状態。 人の気配もないし、帰る方法もわからないし、途方に暮れるという体験だった。
- 作者: ドミニック・ローホー,原秋子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/06/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
見知らぬ土地で迷いたくない。