一角獣は夜に啼く

ただの日記です。

思ってることとか考えたこととか適当に書きます。 まじめな話は 「ひだまりソケットは壊れない」 に書いています。

読んだ: 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 フィリップ・K・ディック

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

上の id:shimobayashi さんの感想記事を見て 「面白そう」 って言ってたら貸してもらった。 わーい。 ありがとうございます!!!

読んでみたら実際のところ面白くて勢いよく 2 日ぐらいで読み終わった。 そのあと感想を書こう書こうと思ったのだけどそのまま 2 週間も過ぎ去ってしまって、もはや記憶もおぼろげになってきてしまった。 完全に忘れ去ってしまう前に残った記憶の欠片をかき集めて感想を書き残しておこうと思う。 (が、手元に本がない状態で感想を書いてるので間違ってることがいろいろあるかもしれない。)

世界観

舞台は最終世界大戦 (第 3 次世界大戦だっけ?) 後のアメリカ合衆国。 地球環境は汚染されていて、政府は火星への移住を推奨している。 労働力として (?) ほとんど人と見分けがつかないアンドロイドが生み出されていたり、機械仕掛けの動物が製造されていたりする。 生きている動物は貴重で高価なのだけど、動物を飼っていない人間は道徳観念のない人間だとみなされて軽蔑されるような社会になってしまっているので、生きている動物を飼えない人は機械仕掛けの動物を飼って周りの目を欺いている、という感じ。

アンドロイドは人間に使役される存在なのだが、たまにそれが嫌で火星から不法に逃げてくるアンドロイドがいて、主人公はそういったアンドロイドを殺す仕事をしている。

第 3 次世界大戦とかアンドロイドの存在とかは今から見ると *1 わりとよくある設定かなーと思うのだけど、動物を飼ってないと云々の話とか、上には書いてないけど変わった宗教とか出てきて、そういうのは珍しいなーと思った。 わりとよくある設定といっても、だからといって陳腐だとかそういうことはないので、こういう世界観が好きな人は楽しめると思う。

アンドロイドと人間と共感力

上に書いたようにアンドロイドはほとんど人間と見分けがつかないのだけれど、作中ではアンドロイドと人間とを区別するものとして 「共感」 (あるいは感情移入) する能力の有無があげられていた (と思っている)。 人間は他者に共感することができるが、アンドロイドは 「共感しているふり」 しかできない、という風に描かれていた。

共感力って、他社の状況を認知する能力や他者が置かれている状況や他者が受けた刺激を想像する能力、それらをもって自己の感情を変化させるというような能力が必要になるのかなーと思っていて、それらの能力って人間が生来備えてるものというよりも、成長していく中で身に付けるものなんじゃないかなーと思っているので、アンドロイドが他者に共感しないというのは単にそういう能力が不足してるとか経験が不足してるとかそういう理由なんじゃないのかなーと感じたりした。

作中、アンドロイドが生きている蜘蛛を見つけて 「なんでこいつ足が 8 本もあるんだ? 4 本でいいじゃねーか。 4 本にしてちゃんと歩けるかどうか確かめてみようぜ」 って言って足を 4 本もぎ取ってしまって、それを見ていた人間は 「かわいそうだ」 みたいに感じる、という場面があった *2。 これはアンドロイドの共感力のなさを表現するエピソードだと思うんだけど、人間の子供もわりとカエルの尻穴に爆竹詰め込んで喜ぶとか、そういうこと平気でするよなー、と思ったり。

表題、その意味

共感が一つの題材である以上、表題の 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」 の 「夢を見る」 というのは、夜寝るときの夢というよりも 「憧れる」 という意味で使われてるっぽい気がする。 憧れというのは一種の共感だと思うので、そもそも 「アンドロイドが他者に共感できるのか」 というあたりが表題に込められた一つの問いかけなのかなーと思う。 さらに 「夢を見る」 の対象が 「電気羊」 であることから、「ともに人工的に生み出された存在なのに電気羊は人間に飼われていて、アンドロイドは使役されている」 みたいなことから生まれる電気羊への羨望みたいなものをアンドロイドが感じるのかどうか、というところから転じて、「人間がほとんど人間と見分けがつかない存在を使役することに対して何らかの共感をしないことはどうなのだ」 みたいな問いかけとかも含まれてるのかなーと思ったり。

なんかいろいろ詰め込まれてていろいろ考えることがあったけどもはや記憶が薄くなってるのでなんか全然違う話を書いてるかもしれない。

おわりに

よく 「オススメされても読まなくていい SF 作品」 とやらに 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』 があげられてたりするけど、実際のところ SF 作品として面白いかと言われれば微妙だと言わざるを得ないと思う。 あんまり SF 作品を読んだことがないので SF のノリがわからないんだけど、そんなに科学技術的な要素も出てこないし。

一方、SF というくくりは無視して単に小説として評価すると、滅びゆく世界の日常、って感じで非常に面白かった。 shimobayashi さんは 「人間の価値観が破壊されていく物語」 みたいな評価をしてたけど、それは割と日常的なことなんじゃないかなー。 退廃的なのが好きな人にはオススメできる小説だった。

*1:当時としては斬新だったのかも? あんまりわかんないけど。

*2:あんまり覚えてないので適当。