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一角獣は夜に啼く

ただの日記です。

思ってることとか考えたこととか適当に書きます。 まじめな話は 「ひだまりソケットは壊れない」 に書いています。

読んだ: 悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験

悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験

悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験

リチャード・スティーブンズ著、藤井留美訳の 『悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験』 を読んだ。 著者のリチャードは心理学の研究者で、2010 年に 「悪態をつくことにより苦痛を緩和する」 研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。

本書では、セックスや酒 (依存)、悪態をつくこと、スピード狂 (その他スリルを求める行動)、恋や退屈について、そして臨死体験といった内容について、これまでの研究論文を参照しながら意外な効果があることやそういう人間の心理を紹介している。

例えば、酒への依存からの関連で薬物依存の研究としてラットパークを用いた研究が紹介されている。 本書以外でもちょくちょく見かけるので知ってる人も多いかもしれない。 何もないケージにただの水とモルヒネの水溶液を用意してそこにネズミを入れると、ネズミはモルヒネの水溶液を好んで飲んだ (= 依存している様子) が、ネズミにとってストレスなく過ごせる環境を用意したケージにただの水とモルヒネの水溶液を用意すると、ネズミはあまりモルヒネの水溶液を飲まなかった、というやつである。 (簡単に言うと。)

セックスの話題だと、カルビン・クーリッジ大統領の次の逸話 (本書 34 ページより) にちなんだクーリッジ効果なんかが面白かった。

クーリッジ大統領夫妻は、とある農場にたびたび姿を見せていた。 ただし二人いっしょではない。 それぞれ好きな場所があって、ちがう日に訪れては案内してもらっていたのだ。 養鶏場にやってきた大統領夫人は、雄鶏がさかんに雌鶏にのしかかる姿を目の当たりにした。 交尾が一日数十回にもなると知って驚いた夫人は、大統領が来たらその話をしてくれと冗談で頼んだ。 そのことを聞いた大統領の切り返しは、シンプルでありながら実に鋭かった。 相手はいつも同じ雌鶏かとたずねたのだ。 ちがうという答えに、大統領はこう言った――家内にその話をしてやってくれ。

お酒の話だと、二日酔いと迎え酒の話もなるほどなーという感じ。 ビールなどのアルコールのうち主なのはエタノールで、二日酔いの原因となるメタノールは少量しか含まれてないらしい。 んでもって、メタノールよりエタノールの方が優先的に体内で分解されるから、二日酔いのときに迎え酒をすると効果があるということだった。 なるほどなー。

他にも、著者の研究でもある悪態をつくことによっていい効果があるとか、部屋が散らかっている方が創造的な作業でより高い成果を出せるとか、バンジージャンプのようなスリルを感じる体験はストレスではあるが、そのストレスは良いストレス (ユーストレス) であって身体的に良い効果がある、とか、基本的に 「へー」 って感じの話が多々。

研究論文ベースで話が展開するのだけど、変に堅いわけではなく面白おかしく紹介されてるので楽しく読み進められた。 研究論文ベースなせいか話のつながりがちょっととんでるとこもあったり、逆にわかりやすく紹介しようとしているせいか (本書での表現上は) 論理の飛躍があったりもするのだけど。 面白い本だった!