一角獣は夜に啼く

ただの日記です。

思ってることとか考えたこととか適当に書きます。 主にソフトウェア開発の話題を扱う 「ひだまりソケットは壊れない」 というブログもやってます。

読んだ : DEEP WORK 大事なことに集中する / カル・ニューポート 著

大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法

大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法

元同僚が 「DEEP WORK」 という言葉を使っていたのが気になっていたので読んだ。

ディープ・ワークとシャロー・ワーク

原題にもなっている 「ディープ・ワーク」 は、著者の造語である。 対応する言葉として 「シャロー・ワーク」 というものもある。

ディープ・ワーク : あなたの認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。 こうした努力は、新たな価値を生み、スキルを向上させ、容易に真似ることができない。

シャロー・ワーク : あまり知的思考を必要としない、補助的な仕事で、注意散漫な状態でなされることが多い。 こうした作業はあまり新しい価値を生み出さず、誰にでも容易に再現することができる。

本書の内容

現代はコミュニケーションツールが充実しており、仕事中にもメールやチャットなどによる割り込みが多い。 SNS でのやり取りなどでも注意散漫にもなりやすい。 一方で、単純な作業は機械化されたりしていく中で、人の仕事としては、より集中力が必要なもの、深く考える必要なものが高い価値を発揮するようになってきている。

そのような状況の中でディープ・ワークが重要である、ということが前半で語られる。 後半ではディープ・ワークを実践するための方法が語られる。

個人的な体験として

個人的な体験としても、外界とのやり取りを断って物事に集中するのが効果的な状況があるというのは実感している。 大学受験前には、2、3 ヵ月ぐらいの間、朝起きて寝るまで、トイレや食事・風呂以外はずっと受験勉強をするということをしていたのだけど、あれはだいぶ効果があった。 (あまりにも効果があったのでそのあと受験勉強をやめてネトゲ廃人をしてしまったのは良くなかった。)

それから、個人的にソフトウェア開発をするときや新しい技術を学ぶときには、土日の間に時間を取って集中して取り組むことが多い *1。 「今週はこれを学ぶ」 とか 「これを作る」 などを決めたら、あとは集中してやり続ける、みたいな感じ。 これも集中できて効果があると感じる。

一方で、仕事において重要なことに集中できているかというとできてないよなぁ、というのは本書を読む前から感じている。 自分は、メールチェックをこまめにはしないとか事務作業でやらなくて良さそうなやつは放置するとか、わりとシャロー・ワークを避けてる方ではあると思うんだけど、やっぱりなんだかんだでシャロー・ワークは多い。

本書では、知的労働者が生産性の代わりに多忙であることを示しがちであることが下記のように述べられている。

社会評論家、マシュー・クロフォードは述べている。 「マネジャーたち自身、精神的に混乱した状態で生きており、果たさねばならない漠然とした責務に心を悩ませている」

クロフォードは特に知的労働に従事する中間管理職の苦境を述べているが、「精神的な混乱」 はこの部門の多くの職業に当てはまる。 (中略)

多くの知的労働者にとって、同様の現実が問題を生んでいる。 彼らは生産力あるチームメンバーで、生活費を稼ぎだしていることを示したいと思っているが、そのために必要なものがはっきりとはわかっていない。 彼らには自分の価値の証となる、上昇していくエイチ指数や修理済みのオートバイを並べたラックはない。 個の隔たりを埋めるため、彼らは生産力がもっと広範に見られた最後の時代、つまり工業の時代に戻っていくように見える。

生産性を示すことの代用としての多忙に陥らないように気を付けているつもりではあるけど、やらなくていい作業とか手を抜ける作業とかがもっとあるだろう気もするし、大事なことにもっと集中するようにしていきたい。

*1:最近あんまりできてないけども……。