読んだ : 「便利な」 保育園が奪う本当はもっと大切なもの
『保育園問題』 が行政側の視点で書かれていた書籍であった一方、こちらは保育園の理事長という立場の人による著書。
- 作者: 長田安司
- 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
- 発売日: 2013/01/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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概論としては、下記のような感じ。
- 国の施策として、経済政策の一環として出産前後の女性の就業率の向上などが図られている。
- そのために必要な保育園の規制緩和がなされている。
- また、子どもにとって良い保育ではなく、親にとって便利なサービス提供が求められるようになっている。 (行政的側から指導主事がそのようになっている。)
- その結果、子どもにとっての保育の質が低下してしまい、子どもの健全な成長が阻害されるという状況が起こっている。
- 子育ての主体者は保護者であり、保育園は子どもの成長・発達を保証するという役割と、子育てにおける親の役割の大切さを伝えていくという役割を果たすべき。
感想
概要だけ見ると良いことを言っているように思える。 特に保育の質については、『保育園問題』 でも触れられていたことではあるけれど、園側の視点で具体的にどういう状況が起こっているのかということが語られたので、より深く理解できた。 また、行政の施策に対して園側からの批判的な目線で語られるのも、行政側の意見だけでは見えない部分が見えて良かった。
一方で、細かい部分では感情的な論調もあったり、やや過激な主張があったりするので、そこは気になった。 例えば 「母親を働かせるのではなく (ニートや引きこもりの) 若者を働かせるべきだ」 とか、「3 歳までは基本的に家で親が育てるべきだ」 とか。
良いことも書いてあるし、「ちょっと違うんじゃないかな」 って思えることも書いてあるけど、全体としては保育業界に対する理解が進んで良かった。